活版は、5号と呼ばれる大きさの活字(10.5ポイントくらい)を基準にして寸法や呼び名が決められています。4号、3号、2号と数字が小さくなるほど字は大きくなります。
ちなみに活字は十進法でなく八進法で成り立っています。5号活字を8等分した厚さ(罫)が最小単位です。これが裏罫(約0.4㎜)と呼ばれる線の太さになります。
他に表罫(約0.1㎜)という線の太さもあります。これは印刷されるところは細いのですが、反対側の印刷されない部分は、裏罫と同じ太さなのです。
つまり、表罫を上下ひっくり返したら裏罫になるということです。活版印刷の印面を見ると罫線同士はぴったりくっついていません。とくに表罫同士が必ず離れてしまうのは、0.4㎜と0.1㎜の差があるためなのです。
罫線がたくさん入った伝票(たとえば請求書とか納品書のようなもの)を組むときには罫線の長さを決め、必要な数の罫を準備します。縦と横を重ねることは出来ないので、どちらを長く通すか、あらかじめ考えて材料を準備します。
植字台のソデにはコミ(込め物)という活字より背の低い詰め物が置いてあります。このコミは、活字の大きさに合わせて、小さいのから大きいのまで様々な種類があります。それらを活字や罫の間に組み合わせて動かないように組んでいきます。
一つずつ計算して、かっちりした組版にしておかないと、印刷機に組み付けて高速で動かしたときにガタガタしてコミが浮いたり、活字が倒れて半分しか写らないなど、大変なことになります。また、きちんと計算して数字の上では完璧でも、使い込んだコミは微妙にやせていることがあります。そんなときは実際の状況に合わせて紙を挟んだりして、がたつきがないように調整します。ここまでくると職人技ですが、ベテランの植字工は、決して印刷機に乗せてから調整しないといけないような組版はしないのです。