植字で組まれた版は、校正・差し替えを経て、いよいよ印刷機にかけられます。小さい封筒や伝票、新聞、チラシ、頁物など種類が様々ありますが、それぞれの製品に合わせて、サイズの異なる活版機で印刷していました。
■降版
吉村印刷では、2階で採字や組版をし、1階で印刷や製本をしていたので、校了になった版は、受け板(ゲラ盆=木製ケース)に乗せて、リフトを使って下に降ろしていました。
1枚の受け板には、A3サイズくらいまで乗せることができます。100頁の冊子になると相当数の受け板を運ばないといけないので、大変です。上と下で声を掛け合って、何度も往復して版を降ろしていました。受け板にはラベルを貼り、内容が分かるようにしていました。
■組付け
印刷順序は仕上げ方法に規定されます。頁物なら何頁の製品なのか、どのように仕上げるのかに合わせ、頁立てを考えて印刷します。印刷する前のこの作業を、組付け(現在の面付け)と呼んでいました。
後工程の流れを考え、頁を配置していく組付けはとても重要です。4頁折りと8頁折りでもそれぞれ頁立てが異なるので、受け板に乗せるときは、頁順に1、2、3、4と順番に乗せるのでなく、組付けるブロックごとにまとめていました。そうすることで、印刷工は積み上げられた中から頁を探すことがなくなり、効率よく作業を進めていました。
組付け時間をいかに短くするかは、工場全体の効率化に直結しており、印刷機の稼動時間を左右する大きなことでした。つまり、植字工は組めば終わりではなく、効率よく印刷機を回すことを考えながら版を供給していました。
降版された版は、印刷機の版上に、ホルマートや木型などを使って余白を決めながら、組付けます。当時使っていた印刷機は、B6判16頁、B5・A5判8頁、A4判4頁を刷ることができたので、それに合わせて組付けも行なっていました。