先日前々から一度行きたいと思っていた、東京は中央区築地に足を運びました。築地というと真っ先に魚市場が頭に浮かんできますが、今回は市場ではなく「活字発祥の碑」が目当てです。
築地市場駅を降りてから徒歩で約5分、人通りの少ない路地に建つビルの裏側に、その石碑はひっそりと建っていました。
石碑には「明治六年(一八七三)平野富二がここに長崎新塾出張活版製造所を興し後に株式会社東京築地活版製造所と改称日本の印刷文化の源泉となった」と刻まれています。
日本における活版印刷の先駆者と言われている本木昌造の門人で、国産では第一号となる活版印刷機を造った平野富二は、明治初期に東京に進出してこの地で長崎新塾出張活版製造所(後の築地活版製造所)を興し、高品質な活字を製造し当時の主流だった木版での印刷から活版印刷への転換を広めていったようです。
今では高層ビルに囲まれた一角にぽつんと石碑があるだけですが、この地から日本の印刷文化が発展して今に至っていることを思うと、なんとも感慨深いものがありました。