心の奥深くに製作者のメッセージが届いて、自然と涙がこぼれてくる映画はそう多くありません。「わたしは、ダニエル・ブレイク(2016年公開、ケン・ローチ監督)」はそんな映画の1つでした。
2015年10月にイギリス・ニューカッスルで撮影が始まったこの映画。主人公のダニエルが直面するイギリス社会の現実を通して、なぜ一人の人間として尊厳を与えられないのか、人として生きることを許されない世の中とは何なのかが、静かに淡々と描かれていました。
見終わった後、「感動」とか「感涙」とかいう言葉では言い表せない感情がこみ上げてくるのは、この映画が社会の現実にこだわって、社会の不合理への怒りをつぶさに描いているからではないかと感じました。2016年5月にはカンヌ国際映画祭でパルム・ドールを受賞し、世界的に脚光を浴びたそうです。
ケン・ローチ監督は、1936年生まれ、83歳の監督です。最新作「家族を想うとき」が昨年末に公開されたので、早く観てみたいと思っています。