カラー印刷されたチラシやポスターを見たときに、「黒のベタ塗りのはずが、他の色やデザインが透けてしまっている」「黒がグレーっぽく見える」といった違和感を感じたことはありませんか?
グラフィックデザインで黒色を基調としたデザインを作成する際、スミベタ=K100%のみで黒色部分を再現しようとすると、印刷したときにどうしても薄い印象になり、グレーっぽく見えてしまいます。
そこで、K100%にCMYのインキを一定量加えることによってインキ量を増やし、黒色が薄くならないような工夫をすることがあります。これを「リッチブラック」といいます。
黒色をリッチブラックとして表現することで、黒一色では出せない深みのある黒になるので、シックで高級感がある落ち着いた雰囲気のデザインを演出することができます。
このとき、混ぜ合わせるCMYの値によって、青みの黒、赤みの黒など、さまざまな黒を作成することもできます。
CMYKのプロセスカラー印刷は、CMYKをすべて100%に設定した合計が、最高濃度400%(4色ベタのこと)ということになります。しかし、あまりに濃い濃度で印刷すると、裏移りなど印刷トラブルの原因になることが多く、実際の印刷では上限の合計濃度を250~300%程度に設定するなどの制限があります。■※総インキ使用量
リッチブラックは、主にデザイン上のオブジェクトに使用する方法のため、細い文字や罫線をリッチブラックにしてしまうと、印刷の際に見当ズレの原因になりやすく、文字や線がズレてぼやけて見えてしまうので、注意が必要です。