製本するうえで欠かせない材料に、糊とボンドがあります。伝票などの背固め、本の表紙と見返しを貼り合わせるときに使用しています。
製本の使用用途によって、糊とボンドを混ぜる割合を決めています。ボンドは強固ではありますが早く乾いてしまうので、伝票類の背を固めるときには、糊3+ボンド7、マーブルをつけるときには糊7+ボンド3という具合です。これをダマ(つぶつぶ)にならないようによく混ぜ合わせてから、水を追加し、作業に適正な濃度にしています。
といっても、それぞれを厳密に計測しているわけではなく、作業時の気候、温度、湿度によって、乾燥気味のときには、水の割合を多くするなど、微妙に割合を変化させていきます。
この割合を間違えてしまうと作業がはかどらないばかりでなく、塗布しにくかったり、製品にシワが入ったり、剥がれやすいなどといった事故にもつながってきます。
そのため、糊を使う作業は、ある程度の経験が必要になってきます。
昔、一緒に作業していたベテラン仕上げ工からは、かき混ぜながら、「このぐらいの濃度がいい。混ぜたときのこの感覚を覚えておくように」といわれていました。そして作業しながら、「固くなってきた」と少しずつ、水を足して調整していました。
ちなみに糊は、フエキ糊を使用しています。