株式会社吉村印刷

印刷を楽しむブログ

オーバープリント②─トラブルから得たこと

印刷の際、見当ズレなどによってレイアウト上に紙白が出ないように、前面の黒100%のオブジェクトには、通常はオーバープリント処理を適用します。※オーバープリントとは?
しかし、すべての場合に当てはまるわけではありません。

先日、ゴールドインキやシルバーインキを使った印刷物があったのですが、印刷部の担当者から「ゴールドインキ上の黒インキの乗りが悪い」と相談がありました。

通常オフセット印刷では、タック値が高いインキから順に印刷されます。
タックとは、オフセット印刷機上でインキが「インク壺→ローラー→版面→ゴムブランケット→紙」へと転移する際に、インキの薄い皮膜が急激に分裂を繰り返す際の抵抗のことをさします。簡単にいえばインキの「粘着性」のようなものです。

ゴールドインキやシルバーインキは、他のプロセスカラーインキよりもタック値が高く、オーバープリントを適用していると、ゴールドインキが刷られた上に黒インキが刷られることになるので、どうしてもトラッピング不良などにより、黒インキが適正濃度で印刷できない…ことが発生します。

このときのトラブルでは、一律にオーバープリントを適用していたためインキの乗りが悪かったようです。それ以後は、ゴールドやシルバーインキと黒の組み合わせなどは、オーバープリントを破棄して印刷するようにしています。

また、前面にある黒いオブジェクトの後面一部にオブジェクトが重なっているときも、要注意です。
黒いオブジェクトの下層、全面的にオブジェクトがかぶっているのであれば、一部だけの色が変わることはありません。
しかし、一部だけの場合にオーバープリントが適用されると、その部分だけ黒+背面の色が印刷されるので、少し色味が変わってしまうのです。黒インキといっても、黒100%だけでは漆黒にはならず、紙やインキの特徴や相性によっては、やや薄くなり下のインキの色が透けてしまうのです。



デザインや使うインキによっては、オーバープリントの適用が意図しないトラブルを引き起こすこともあるので、慎重に作業しています。

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