印刷会社の作業や受発注の際に飛び交っている多くの印刷用語…。
どのような由来からそう呼ばれるようになったのか、今回は製本に関するワードを紐解いてみました。
■クータ:元はホローバック(※表紙の背と中身の背とが密着していないで、本を開くと空洞ができるもの)の上製本に用いられていたもので、強度と開きの良さを同時に向上させる機能をもっています。筒状の紙で、“空袋(くうたい)”が語源といわれています。現在は並製本にも応用され、丈夫で読みやすい本が実現可能になっています。
ちなみに渋谷文泉閣さんが開発した“クータ・バインディング”という製本加工は、「開く、見やすい、書き込みやすい」という特徴があり、写真集、美術書、楽譜、料理本、マニュアルなどに採用されています。「手で押さえなくても閉じない製本」として、読者の読み易さを第一に考えた製本方法…。実用化までに10~15年かかったそうですが、そこまで実現させたプロの技術がすごいですね。
■くるみ表紙(元の名・おかしわ):4頁に印刷された表紙のことで、無線とじ等の雑誌製本や仮製本のくるみに一般的に採用されています。柏の葉で餅を包む連想から「おかしわ」と呼ばれていたそうです。
■アジロとじ:網代綴じ。本の背の切れ目が、漁師が使っている定置網の網代に似ていることから、そういわれるようになったとか。のりの浸透をよくするために、折丁の背の部分にミシン目を入れて加工しています。※アジロ綴じと無線綴じ
■寒冷紗(かんれいしゃ):読んで字のごとく、寒冷地での作業や寒い季節に植物の苗などの霜よけに使う荒織りの布(紗)のこと。農業、縫製、建築、食品、美術などいろいろな分野に使われていますが、製本分野では本の表紙や背を補強するために用いています。※寒冷紗のブログ