上の画像は、20年以上前に現役で使っていた写真植字機。「写真の仕組みを応用して文字や飾りを写真的に印字する作業を行なう」ための機械です。少し分かりにくいですが、写真的な手法で植字・組版を行ない、印刷用の版下を作る機械のことを写植機といっていました。
使い方としては、まず「マガジン」と呼ばれる暗箱にフィルムや印画紙をセットして印字をしていきます。
↑暗室でマガジンを開けて紙をセットする
手動式の写植機は、文字盤を手で動かして一文字ずつ選び、固定してレバーを押すとカメラのように「パシャッ」とシャッターが切られ、文字が焼き付けられる仕組みでした。その文字が焼き付けられた印画紙やフィルムを使って、オフセット印刷機にかけるための版を作成していたんです。
焼き付けられた文字は、すぐに画面上で確認することができなかったので、印字したフィルムや印画紙が入ったマガジンを持って暗室に入り現像を行なうことで、初めて文字を確認することができていました。なので、時間に追われているときなどは、とりわけ慎重に作業していました。
■変形レンズ
写植機は、主レンズを交換することで、縦線と横線の比率を変えることなく、文字の大きさを変えることができていました。また、変型レンズを併用することで平体、長体、斜体にすることができたんです。
今でいうとadobeの組版ソフトなどで文字サイズを変えるのと同じようですが、レンズのサイズに制約があったので、すべて1ポイント単位で移動…とはなりません。変型レンズもズームのように自動で動かせるわけではないので、10%単位で1番(-10%)~4番(-40%)しか変型率を変えられませんでした。
(つづく)