株式会社吉村印刷

印刷を楽しむブログ

貴重な上製本の修正

このたび、貴重な本の修正を行ないました。

外側から見るとよさげな感じです。
しかし、実際に本を見ると、背の部分が本身からはずれています。
表紙と見返しはしっかりついていますが、糸が切れたために本文の一部がはずれています。



背の側を分解すると、クータと呼ばれる三角形の紙と厚紙、そして寒冷紗が使われていました。


今回、本の上下に用いられている花布はそのまま使いました。くずを取り除いてきれいな状態にして、外れている部分は補強しています。




そして、クラフト紙を使って、クータを作成しなおしました。この何気ない部品が厚い本でも開きやすくします。


本文を見てみると、4カ所糸で綴じてあります。糸が切れたところは、穴が8ケ所あいていました。その穴に再び糸を通して、結びつけるようにすることにしました。

4枚1セットで綴じられていて、その真ん中を開きます。糸に針を2つ通して、2つの穴に突き刺していきます。穴をめがけて針を刺すのですが、同じ位置に針を通すのは意外に難しい作業。その作業を4回行ないます。そうするとこの部分のページがはずれることはなくなります。




本来は本文の側にクータ、厚紙、寒冷紗をつけるのですが、表紙の方に寒冷紗をつけました。表紙と見返し、そして見返しと本文の最初のページはしっかりついていたので、その状態を活かしたかったからです。ボンドを用いて、ずれないように慎重に貼りつけました。





重しをし、しっかり乾燥させて、修正は終了。見た目はあまり変わりませんが、本を開いても大丈夫な状態になりました。


貴重な本なので、失敗してしまうと元に戻すことはできません。
どういった製本をされているのか、どういう修正をしたらよいのか、勉強しながらの本の修正作業になりました。

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