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印刷を楽しむブログ

『奇跡の本屋をつくりたい』を読んで


『奇跡の本屋をつくりたい』(著者:久住邦晴)を読みました。

北海道は札幌市の市民に愛されてきた老舗の本屋さん、くすみ書房。その店主だった久住邦晴さんは、「いい本を読んでもらいたい」とユニークな企画をくり広げてきました。

中でも目をひいたのは、「なぜだ?! 売れない文庫フェア」の取り組みや「本屋のオヤジのおせっかい 中学生はこれを読め!」の企画。なかなか本を読まないといわれている中学生が読んでおもしろいと思う本のリスト500冊をあげ、帯、ポスター、チラシを作って宣伝したり、本屋での読み聞かせをやってみたり、今の本屋さんではなかなか見られない光景で、遠方でなければ思わず足を運んでみたくなりました。

「いい本を読者に届ける」との思いで取り組んできた久住さんは、残念ながら病気で死去されます。しかし久住さんが亡くなった後も、娘さんの久住絵里香さんや周りの方たちの手によって久住さんの遺志が受け継がれ、この本が完成したそうです。

本の間に挟んであった「ミシマ社通信」。久住さん本人やくすみ書房を訪れたお客さんの手書き風で、とても味があり、ミシマ書店員さんの優しさが伝わってきました。

本屋に足を運んで本を手にとらなくても、ネットで注文すれば簡単に本が届くようになった時代。そんな時代だからこそ、本屋に足を運んで実物を手にとって本を買うことの面白さや新たな本との出会いに改めて気づくのかもしれません。

町の本屋の可能性を探ってきた久住さんのように、よい本をつくり、よい本を多くの人に届けたい…。遠く離れた下関の地ですが、毎日心をこめて製本作業に取り組んでいます。(M)

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