枚葉印刷機では、くわえ側よりもくわえ尻側のほうが、印刷時の用紙の伸びが大きく、扇状に広がるようになります。この現象のことを「ファンアウト」といいます。
紙の目によってもファンアウトの出方は違い、縦目よりは横目でその現象が出やすく、また、薄い紙のほうが出やすいという特徴があります。
ファンアウトは、印刷時に使われる湿し水を印刷用紙が吸って用紙が伸びることで起きやすくなります。
オフセット印刷では、K(ブラック)→C(シアン)→M(マゼンタ)→Y(イエロー)と1色ずつ順番に刷っていくのですが、
極端に言うと 1色刷って水を吸った用紙に、次の色を乗せる(そのときに用紙が伸びる)、そしてまた次の色(更に用紙が伸びる)…となるので、コーナーのトンボが合わなくなってしまうのです。
また、過度に印圧をかけてしまうことで、用紙が伸びてしまうことも要因の一つになります。そうしてファンアウトが起きると見当不良が起こり、カラー印刷では各色のコーナートンボが重なり合わず、色ずれが起きてしまうのです。
ファンアウトを防ぐためには、工場内の温度や湿度を管理すること、印刷用紙の保管を適切に行なうこと、湿し水を出し過ぎない(適度に水を絞る)ことなどが重要になります。製品の出来に直結する部分なので、とても気を遣うところです。