商店街や街中を歩いているとき、色褪せて時代を感じてしまうポスターを目にすることがあります。
長い間、太陽光に晒された印刷インキは紫外線の成分によって、とくにマゼンタやイエローなどの暖色系の色が変化(色落ち)してしまう現象、いわゆる退色を起こしてしまいます。そのため、印刷された人物の顔が極端に青っぽくなってしまったり、風景の写真が何か薄いような色になってしまったりということになります。
退色はどの程度の期間(何週間や何カ月など)で起きる、と一概には言えません。ポスターを掲示する季節や天候条件、場所によっても退色の進み具合は違い、紫外線をまともに受ける場所などは案外早く進むこともあります。また室内であっても、蛍光灯の紫外線によって退色する場合もあります。
その退色が起こりにくいように開発されたインキが“耐光性インキ”で、国内でもさまざまなインキメーカーにより開発・販売されています。耐光性インキを使用することで、ほとんどの場合色あせを心配することなく、屋外に掲示することができます。
耐光性インキの特徴は、一般的にインキの成分のなかで顔料がもっとも紫外線の影響を受けやすいため、紫外線に強い顔料に改良されたインキだということ。通常のインキと比べてやや色味が変わることから、色にこだわった作品の印刷の際には注意が必要です。
場所や天候など掲示物への環境的悪影響のもとで、一般インキで印刷されたものが数週間で変色を起こしてしまう場合でも、耐光性インキであれば数年は色の変化が起きないということもあります。しかし、耐光性インキで印刷すると絶対に退色しないわけでもなく、長い間紫外線に晒され続けると退色を起こす場合もあります。
耐光性インキを使えば金額もプラスになるので、「屋内か屋外か」「日の当たる場所かどうか」など、どこでどのように掲示するかを考えたうえで、それぞれの条件に合った印刷インキを選択すれば間違いないと思います。