株式会社吉村印刷

印刷を楽しむブログ

金子みすゞの詩と水彩画

郷土の詩人、金子みすゞ。1903(明治36)年、現在の山口県長門市仙崎に生まれた金子みすゞは、親戚が営む下関の書店で働いていたころ、多くの詩を日記帳に書き記していたそうです。

昨年、「金子みすゞの詩をたくさんの人に知ってほしい」と考えておられた下関市内の書店さまから、掛け軸と手ぬぐいの作製依頼を受け、私たちもその一端を担うことができました。

■掛け軸「金魚」


掛け軸をつくるにあたり、お客さまのお義父さまが描かれた水彩画とみすゞの詩を組み合わせて作製することが決定。レイアウト作成過程では、どの書体を選択するか、どのような紙に印刷するのかについて、お客さまと相談しながら一つ一つ決めていきました。そして、書体はやさしい丸みを帯びた書体、紙についてはオボナイ紙という和紙を使うことになりました。

オボナイ紙とは越前和紙の一種で、簡単にいうと「※花がたくさん入っている和紙」のこと。和紙でありながら少し光沢があるのが特徴です。
※「花」は、楮(こうぞ)繊維と粘剤(ネリ)とを混ぜ合わせ、微量の硫酸バンドを入れて繊維を花弁状に固めたもののこと。オボナイ紙には大礼紙よりも花が多く入っている。

完成品は、和紙・水彩画・みすゞの詩が程よく組み合わさり、とても優しい仕上りになりました。




■手ぬぐい「雀のかあさん」

手ぬぐいは、お客さまのお義父さまが書いた筆文字、雀を描いた水彩画を使用。


半紙に描いた雀の水彩画と、筆文字の詩をスキャナ撮りし、絵をできるだけ忠実に再現するための画像処理をおこないました。

はじめは、既存のフォントを使用してレイアウトを作成していましたが、お客さまのご依頼で直筆の筆文字を採用することに。お義父さまが書いた何種類かの筆文字の中から一つを選び、手ぬぐいに配置することで味わいのある手ぬぐいが完成しました。


データ上だけではなく、掛け軸や手ぬぐいとして形にすることができ、とてもうれしく思っています。
ありがとうございました!

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です