株式会社吉村印刷

印刷を楽しむブログ

大切なもの

つい先日、何気なく新聞を読んでいると、「値上げ続く紙の本……紙の出版物は一部の熱心なファン向けのものになっていくのか」という記事がありました。

印刷業界にとどまらず、この1年ほど話題になり続けた紙の仕入れ価格高騰問題。
紙の本の未来について、販売価格の値上げという現状から詳しく掘り下げていただいていることに「おっ!」と思うと同時に、様々なメディアが台頭するなかで本を読む時間が減り、紙の本の需要が縮小していくのではとマイナス側に捉えられているのは少し残念でした。

とはいえ、出版業界全体を見ると紙の本が減っているのも事実。私たちの周りでも、大学関係の論文集がPDF納品になったり、コロナを契機に広報誌の発行をやめたり、電子化の影響であらゆる分野のペーパーレス化が徐々に広がっていると感じています。
また紙に限らず、版やインキ、製本用の糊などの資材関係が軒並み値上げとなった影響で、1冊あたりの作製単価が上がり、出版物の価格が上昇していることも周知の事実です。

しかし一方で、子ども向けに限らず全世代が楽しめる絵本のジャンルが好調だったり、タブレットに移行していた学習教材をもう一度紙のテキストに戻す動きがあったり、紙製品を扱ったフェスや紙博、ワークショップなどが好評を博していたり、紙の本を取り巻く社会状況は、コロナの時代を経てまた変わってきたのではないかと感じることが多々あります。

様々な物の値上げが続いているなかで、紙の本も手に取りにくくなるものとして例外ではありませんが、今からの時代、文房具や雑貨などの人気ぶりを含めて俯瞰して見てみると、一周回って紙の本の可能性はむしろプラス側に広がっていくんじゃないのか? と考えることもあります。

個人的には、スマホやタブレットで読むニュースや取説、資料の便利な部分を使いながら、紙の本は紙の本で大切なものとして手元に置いておき、読みたいときに読むというスタイルがいいなぁと感じています。

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