「抜刷」とは、印刷の専門用語の一つで、書物や雑誌のある部分だけを抜き出して余分に印刷すること、またはその印刷したもののことを指します。別名では、「別刷り」「リプリント(reprint)」とも言われています。数え方は「部」で数え、厚いものでも「冊」では数えません。
抜刷の活用方法としては、著者からの贈呈に用いられたり、学会研究用として研究者仲間や学生に配布したりすることに使われるようです。
弊社でも、各大学の論文集や紀要などの著者それぞれの論文だけを抜き出して印刷し、表紙をつけて製本することがよくあります。その際には、本誌と同じ版を使って印刷し、本誌とは別に製本するという工程を通ります。
抜刷の表紙は、本文タイトルを抜き出してレイアウトし、本誌に使う表紙より少し薄めの上質紙に印刷しています。背文字は冊子が薄いので入らないことが多いです。
抜刷作製を最初から想定している書籍の場合は、組むときに注意することがあります。
例えば、横書きの場合、個々の論文のはじまりページが常に奇数になるようにしています。
これを「奇数ページおこしにする」といっています。
そのため論文の文字数・行数によっては、最後の偶数ページを空白(白ページ)にします。こうすることで、一冊の本から個々の抜刷にしたときにきれいに分割することができます。
どうしてもそれができない場合は、不必要なページと表紙裏を糊で貼りつけるという方法もありますが、手間がかかるうえに仕上がり精度が落ちてしまうので、出来るだけ避けたいところです。