とある製品のデザインをしていたときのこと。
その製品は、各項目ごとに「柱(はしら)」の色が変わる製品でした。
お客様とのメールのやりとりで、背景と「柱」のカラーバランスをお伝えしようと思い、
「このページの柱の色は深緑になります」とメールを送ると、「“柱”とは何でしょう」とのご返信をいただきました。
私たちとしては当たり前のように使っている言葉ですが、お客様の周辺では「“柱”というからにはズドーンとした縦に走る模様かなにかかな? このページでいうと……えっと……どれになる??」と話題になったそうです。
すぐにきちんと「柱」の意味をお伝えし、お客様にも「このことだったのね!」とご納得いただきましたが、印刷会社内で使っている専門用語について、改めて丁寧にご説明することが大切だと痛感しました。
さて、本の組版でいう「柱」とは、各ページの天・地・小口の余白(マージン)に書名や章名の見出しを入れたもののことを指します。
基本は小口寄り(ページをめくる側)に配置され、ノド寄り(糊や糸などで綴じた側)に配置されることはありません。
この柱があると、読み手にとっては、今どの章や節を読んでいるのかが分かり、ページを検索するときにも、柱が目次の代わりになるのでとても便利です。
柱には片柱方式と両柱方式があります。見開きの両ページにつくこともあれば、片ページのみにつけられることもあります。
片柱方式は、奇数ページのみ柱をたて、偶数ページには柱をたてず、ノンブルのみ掲げるという形式。両柱方式は偶数ページに総・章などの大きい見出し、奇数ページに節・項などの小さい見出しを掲げるという形式です。
稀にですが、柱にすべき見出し名が非常に長くなると(版面の半分以上をこえると)、体裁上見苦しくなるときがあります。極端に長い見出しを柱にする場合は、適当に省略した方がすっきりします。逆に短い場合は、字割りすることもあります。
組版作業では、ノンブルのときと同じく、はじめにマスターページで柱を設定しておきます。なので、1ページずつ、ノンブルや柱をコピペしながら作成することは基本的になく、後日訂正作業をする場合も、マスターページの文字を訂正すれば、自動的に全部訂正されることになります。同じ項目の柱で、最初のページが間違っていると、その項目の柱の全ページが誤植となってしまうので要注意です。