株式会社吉村印刷

印刷を楽しむブログ

地紋付見出しの軌跡Ⅰ/製版の歴史編


上の写真のような新聞や雑誌の見出しのなかで、バック(下地)に模様が入っている見出しのことを「地紋付見出し」と呼びます。

この「地紋付見出し」は、注目してほしい記事や大事な記事に付けることが多く、よくよく見てみると、線や網、花模様など様々な柄があります。毎日家に届く新聞の社会面や家庭欄のちょっとしたコラムなど、思わず読んでみたくなるような工夫がされています。

今でこそパソコンのソフト上で「地紋付見出し」を作れるようになりましたが、昔(パソコンなどの機械がなかった時代)は、一つ一つ手作業で作っていました。

写植機※(写真植字機)を使うようになってからは、フィルム操作で作れるようになりましたが、それ以前は、必要な活字を並べて校正刷り機で刷るか、レタリングの文字にスクリーントーン(模様の描かれたシールのようなもの)を貼って版下を作っていました。
※写真の原理を応用して文字を印字する機械のこと。

活字の部分に少しアキ(文字を読みやすくするための縁)をとって切り抜いていくのは大変な作業で、一度に大量生産できるものではありませんでした。


↑レタリングにスクリーントーンをかけて作製されたタイトル(1970年代)


上の図の手順で作製した版下を、下の写真のような製版カメラ(写真製版作業専用カメラ)で拡大したり斜めにしたりして、必要な寸法のフィルム(種板「たねいた」)を作製していました。


↑当時使用していた製版カメラ。この大型のカメラで、地紋付見出しをはじめ写真やカットなども撮影して、凸版用のフィルムを作成していました。

ちなみに作製したフィルムを「種板」と呼ぶのは、それを元にいくつでも複製することができるところから来ています。(つづく)

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