先日、いつものようにPhotoshopを使ってカラー写真の点検・修正をしているときのこと。
印刷適正データにするため、RGB→CMYKに変換して、4色の総インキ使用量を確認していると、300%を超え400%に近い写真がありました。
総インキ使用量とは、CMYKの4色の合計量のことで、たとえばCMYKそれぞれが75%以上の濃度になると、300%以上になります。
Web用に写真を修正する際にはあまり気にしない部分ですが、オフセット印刷機で印刷する場合のデータ修正は、印刷時や印刷後にトラブルを起こす原因になるので、総インキ使用量を要チェック項目の一つにしています。
とくに広い絵柄の部分で4色のインキ量が300%を超えると、トラッピング(先に刷ったインキの上に後刷りインキが転移し重なっていく状態のこと)が悪くなり、本来の色味が出せない要因になります。また先に印刷した紙のインキが乾かないうちに次の紙が重なり、インキが汚れのように転写されてしまう「裏移り」も起こりやすくなるのでとても厄介です。
このような場合は、Photoshopで総インキ使用量を減少させるための処理を施します。処理をしすぎると、シャドウ部分が深みのない絵柄になってしまうので、気をつけて処理をしています。
総インキ使用量については、印刷会社によって指定値もさまざまで、「300%以上でもいい」という会社もあれば「250%以下に」という会社もあります。
吉村印刷としては、できるだけ写真の深みを残しつつ、しかし印刷トラブルにならないような数値を目指し、最大でも280%~300%に収まるようにしています。
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