株式会社吉村印刷

印刷を楽しむブログ

発色しないノーカーボン紙(感圧紙)の断裁


これ、一見普通の上質紙に見えますが、実はノーカーボン紙(感圧紙)を使った製品。
通常ノーカーボン紙(感圧紙)は、断裁すると下の写真のように断面が発色するのですが、上の写真は大部分が発色していないんです。

↑ 断面が発色したノーカーボン紙(感圧紙)


さて、発色しないのはなぜなのか。順を追って確認していきたいと思います。

まずノーカーボン紙(感圧紙)の場合、断裁するときには、上質紙よりも圧力(紙を押さえる力)を下げて、400kg前後で切らなければいけません。
なぜかというと、一般的な上質紙を切るときの圧力は2トンほどのため、これをうっかり下げずに切ってしまった場合、製品を使用する前から青く(黒く※1)発色してしまい、使いものにならないからです。
そのため、ノーカーボン紙(感圧紙)を扱う作業者は特に注意を払うと同時に、作業中は作業スペースに大きく表示をして、周りにも注意を促しています。

一方で、印刷面に影響はないのですが、断裁刃の圧力がかかる断裁面も先ほどの写真のように青く(黒く)発色します。
これを逆手にとってやるのが丁合チェック。
もし、上or下の紙を2枚取りしてしまっていたり、あるいは上or下の紙を取っていなかったりした場合、上紙裏面と下紙表面に塗布された薬剤が反応して発色する原理のため、上紙同士または下紙同士では発色せず、白いままになります。
全体が発色しているなかで、白い線が入ったような感じになるので、よくよく見れば目につきます。

とここまで長々と説明してしまいましたが、通常は断裁後発色するのがノーカーボン紙(感圧紙)。
ですが、今回は下の写真のように発色しなかった事例。

↑大部分の断裁面は白く、右側だけは発色して青い


この写真の製品は、断裁する面に減感インキ※2を使用しているため、その部分は発色せず、反対に減感インキの影響がない部分は、青く発色しています。
断裁中、発色しない状態を見ながら、なんだが不思議な気持ちで作業していました。

普段はなかなか遭遇しない結構レアなこの製品。発色する部分と発色しない部分があるのも面白いですね!

※1:通常は青発色の紙を使うが、ごく稀に黒発色の製品がある。
※2:減感インキとは、名前の通り、複写効果(化学反応)を無効化させ、発色させないために塗布するインキのこと。

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