前回から続いて、市民公開講座『漢方・鍼灸の歴史』の内容を少しですがご紹介します!
物事の根幹に関わる「陰陽」と「上品・中品・下品」とは!?
■陰陽-すべての物はバランスで成り立っている
『黄帝内経』には、天(宇宙)、地(自然)、人(身体)との関係と調和の重要性(方法)が説かれています。
「陰陽」は、2進法で、相対する物。存在の根源・思考の原点。
「五行」は、10進法で、思考のデジタル化の出発点。
「十二経」=十二支。12進法は森羅万象の節理を表す。
つまり、方角、季節、色彩、音階、惑星、五臓、五腑、感情、味覚、感覚器、(身体の)組織など、全ての物がバランスを保ち、関係し合っているということだそうです。
正直に言うと少し難しかったのですが、分かりやすかったのが、陰と陽の関係。
物がある=もう一方があるということ。
他方があって初めて成立する関係であり、全ては対で成り立っている。
例えば…固い-柔らかい。明るい-暗い。楽しいのは、苦しいことがあるから。
生-死…死があるから次の生がある。死は終わりではなく、次へのステップである。
古い細胞が死に新たな細胞が生まれ、壮大な世代交代が進みながら種が保存されていく。
……なるほど。すごく深い。
「陰陽」ってよく聞く言葉だけど、「物事の根源的なことなんだな」と初めて知り、自分自身の思考に対してとても大きな気付きをいただいた気がしました。
■上品・中品・下品
『神農本草経』によると、365ある薬物が、効能によって、上薬(上品)、中薬(中品)、下薬(下品)の3種に分類されていた(三品分類)。
分かりやすく言うと、
上品とは、良い食品。
中品とは、滋養強壮に効く食品・薬。
下品とは、病気を治すための薬だが、毒でもあるため、長く飲んではいけないもの…だそう。
…安易に薬を飲むのではなく、日頃のきちんとした食事こそが最大の薬で、健康の秘訣なのかなと理解しました。
■漢方薬と西洋薬
◎「漢方薬」は複数の生薬を組み合わせた配合変化(複合薬)で、それぞれの生薬の良い部分がタッグを組んでチームワークで効果を発揮するもの。
◎対して「西洋薬」は、単一化学成分の薬効が基本で、何かに効く植物が見つかれば、その植物を分析し→単離(構造決定)し→合成し→創薬(新薬開発)するもの。
ここが根本的な違いなのだそうです。
例えば中華料理に例えると、
◎漢方薬が、それぞれの野菜、肉、調理法のハーモニーによって生まれる、絶品八宝菜。
◎西洋薬は、「この美味しさはなんという成分から来るのか?」と解析し、グルタミンに行き着くと、八宝菜のおいしさの根源はグルタミン酸だと断定する。
でも「そんなのは本当のおいしさじゃ無い!」ということだそうです。
漢方薬も西洋薬も私たちが生きていく上でなくてはならないものなので、それぞれの良さを発揮して、相乗効果で体が良くなるようになったらいいなと思いました。
講座の冒頭で小曽戸先生が、「漢方・鍼灸について語るためには、中国の歴史から語らないといけないから、時間内でどこまで話せるか…」と仰っていましたが、壮大なスケールの内容を、1時間半で分かりやすくお話しして下さり、とても充実した時間を過ごさせていただきました。
市民公開講座を主催された、下関市鍼灸マッサージ師会の皆さま、貴重な機会をいただき、ありがとうございました!