一般的に印刷用語で使われるトラッピングには2種類あります。
■印刷でのトラッピングについて
オフセット印刷機では通常、K→C→M→Yの順で用紙にインキが転写されていきます。その際、先に印刷されたCインキの上にM、Yの順に転移していく状態のことをトラッピングといいます。
トラッピングが良好か不良かによっては、刷り上がる色味が変わる可能性もありますが、インキの膜厚、インキの総使用量などが原因で、インキが正常に印刷物に乗らないことを印刷業界ではトラッピング不良といいます。
カラー印刷では、インキ皮膜がまだ乾かないうちに次のインキが刷られるので、先刷りインキのインキ膜厚が厚いと、2色目のインキがうまく乗らず、塗布量が少なくなってしまいます。
そのため、たとえば、緑色を印刷しようとしたのに、Cインキの上にYインキがうまく乗らず青っぽくなってしまった…などということになってしまいます。
また、インキのタック値(印刷インキの粘りつきのこと)が高いと、紙に先に印刷されたインキの一部が、後刷りのインキに引き込まれてしまい、ブランケットを介して、後刷りのインキユニットに混じり合う現象(逆トラッピング)を起こしてしまいます。
■プリプレスでのトラッピングについて
印刷物上で異なる色版の境界がわずかにずれ、白い隙間(印刷用紙の紙白)が出てしまうことあります。これらは、印刷機の精度や用紙の伸縮などが原因で総称して版ズレといっています。版ズレを防ぐために、異なる色版の境界をデータ上で微調整する作業をトラッピングといいます。
隣同士に配置されたカラーの境界線上に、両者をわずかに重なり合わせた部分(トラップ)を作成することで、版ズレの発生を防止します。トラッピング処理をするには専用のソフトもありますが、Illustratorでも処理を施すことができます。
印刷機上でのトラッピングも、プリプレス上でのトラッピングも、最終的には印刷物に現れるトラブルになるので注意が必要です。